1年の内で最も賃貸市場が賑わう時期となってきました。新入学シーズンや4月からの就職に向けて引っ越しを考えている方も多い季節と思います。ここでは部屋探しのポイントをまとめてみました。
当社はいわゆる『お部屋探し』の取り扱いは基本的に行っておりませんが、ひとつの知識として提供しておきたいと思います。
部屋探しの基本と流れ
条件を決める
収入から家賃上限を決める
理なく支払える家賃は収入(月収)の3分の1以下が目安です。家賃以外の出費も考慮し、毎月の手取り額から家賃上限を計算しましょう。ボーナスや残業代などの不安定な収入は除くことがベストです。
■家賃以外の諸費用に注意
賃貸では家賃以外にかかる費用もあります。建物の管理に充てられる「管理費/共益費」や「駐車場・駐輪場代」などがあり、物件によって異なります。
家賃が上限に収まっても諸費用で予算オーバーにならないよう、家賃上限は「毎月支払う部屋の費用」と考えましょう。
地域を選ぶ
部屋探しは部屋だけではなく、生活に合った周辺環境を選ぶことも大切です。
例えば、都心部は買い物や交通の利便性は抜群ですが、家賃の高さ・治安が気になることがあります。郊外は家賃が安く自然が多くなりますが、通勤・通学に時間がかかってプライベートの時間が減る可能性も。
ライフスタイルに合わせて地域を選びましょう。
間取り(部屋数)を決める
家賃上限と地域が決まったら間取りを決めましょう。一般的に部屋数が増えれば家賃が高くなっていきます。そのため、家賃相場を見ながら家賃上限の範囲で借りられる間取りを確認しておきましょう。
希望条件の整理をする
条件決めは譲れない条件とあったら嬉しい条件を分けて考えることが大切です。理想の条件を全て選ぶと家賃と折り合いがつかなくなります。
そのため、絶対に必要な条件を決めたら他の条件は優先度の高いものから足していくと家賃とバランスがとれる部屋に出会えます。
検索サイトで検索する
探し方を決めたら、さっそく検索してみましょう。選んだ探し方だけでなく、家賃や必要な設備などの条件で絞り込みができます。
まずは必要な条件を設定して、どんな物件が該当するのかを確認しましょう。対象の物件があまりにも多い場合はあったら嬉しい条件をさらに追加し、少なかったり0件の場合は条件を外しましょう。このあとに自分が比較できる程度の物件数になるように調整するのがおすすめです。
おすすめサイトは次の2つです。というより、これで充分です。(クリックで開きます。)
物件が決まったら実際に部屋を見学する内見の問い合わせをしましょう。
この時に似ている物件の提案をお願いしましょう。不動産会社は部屋探しのプロなので、自分で探しきれなかった物件に出会えるチャンスです。条件を伝えておけば、空きが出たばかりの部屋を紹介してもらえることもあるのでいい部屋に出会える可能性が上がります。もちろん他の物件以外考えていない場合は、提案を断ってOKです。
不動産会社を訪問、内見
来店予約は以下のことに気をつけるとスムーズです。
- すぐに入居できるケースは少ないため、引越し希望日の約1ヵ月前には不動産会社へ
- 平日の午前中がゆっくり探せる狙い目な時間
- 新婚さん・ファミリーはできる限り全員で訪問しよう
- 予約の時に条件を伝えておこう
くれぐれもいきなり飛び込みでの訪問は気を付けましょう。時期的にも忙しく相手をしてくれない可能性も充分にあります。時間にも余裕をもって、できれば丸一日時間を空けておきましょう。
内見の際の主なポイントは次の通りです。
- 防音性
- 日当たり
- 水回り
- 設備
- 通信速度
- 共用部分
- 収納スペース
- 周辺環境
- 安全性/セキュリティ
入居申込み、契約
内見をして住む物件を決めたらいよいよ契約です。すぐに契約ができるわけではなく、まずは入居申込みをして審査を受ける必要があります。
【入居申込み→入居審査→契約】の手順となり、それぞれの時点で必要書類も増えてきますので、しっかり確認して準備しましょう。
部屋探しの基礎知識
用語について
アパートとマンションの違い
明確に基準が定められている訳ではありません。
一般的に、木造で2階建てまでの集合住宅をアパートと呼んでいます。一方、鉄筋コンクリートまたは鉄骨鉄筋コンクリート造で、3階建て以上の中高層住宅をマンションと呼ぶことが多いです。
K、DK、LDKとは
K:キッチン DK:ダイニングキッチン
LDK:リビングダイニングキッチン
簡単に言うと、キッチンのある部屋がどの目的で使える広さなのかを示すものです。K→DK→LDKの順で広くなります。
ポイントは、LDKの方が必ずしも部屋が広いわけではないこと。他の部屋の広さは表記されないため、2LDKよりも2DKの方が専有面積は広い場合もあります。
キッチンのある部屋以外の広さも視野に入れ、条件を変えてみるのもおすすめです。
インターネットについて
マンションなどの場合、共用スペースまで回線が引かれており、そこから各部屋に回線を引くことでインターネットの利用ができます。
「インターネット対応」のお部屋は、共用スペースまで回線が引かれているので各自で手続きをすれば使えるようになるということ。
「インターネット完備」のお部屋は既にプロバイダとの契約手続きがされていて、入居後すぐに利用できることが違います。手続きが不要ですが自分でプロバイダが選べないため、こだわりがある方は注意が必要です。
また、 「光インターネット対応」は「インターネット対応」と同じ状態ですが、光回線が使用できます。通信速度を求める方におすすめです。
ユニットバスについて
ユニットバスとは、工場でバスルームに必要なパーツをセットで作り、家を建てる現場で組み立てているタイプを指します。壁・天井・床・浴槽が一体化している浴室は全てユニットバスであるため、バス・トイレが一緒になっているものもあれば、別になっているものもあります。
そのためバス・トイレが一緒なのを避けたい場合は、ユニットバスを避けるのではなく、バス・トイレ別の物件を選ぶようにしましょう。
よく見かけるバス、トイレ一体型は『3点ユニットバス』と言われます。
連帯保証人と家賃保証会社
賃貸物件を借りるには入居者が家賃を支払えなくなった場合に、代わりに支払い義務を負う「連帯保証人」を立てることが一般的です。
最近ではお金を支払うことで連帯保証人の代わりをしてくれる「家賃保証会社」がメジャーになってきました。連帯保証人がいない場合だけでなく、家賃保証会社と連帯保証人どちらも必要な場合もあるので、契約時に確認しましょう。
掛かる費用について
毎月かかる費用
- 家賃
- 管理費/共益費
家賃と一緒に支払う費用ですが、家賃に含まれている場合もあります。 - 駐車場代/駐輪場代
- 自治会費、ケーブルテレビ料
物件により異なりますので、充分に確認しておきましょう。
入居時(契約)に掛かる費用
- 保証金(敷金)
滞納家賃や損害賠償の費用を保証するもので、家主に預けるお金です。契約時に支払い、退去時に修復等があればその金額を差し引いて返却されます。
物件によって契約内容が異なるため契約時にきちんと確認しましょう。この敷金トラブルが一番多くなります。 - 保証料
連帯保証人を立てずに賃貸を借りる場合は、家賃保証会社を利用することになります。その場合、家賃保証会社の利用料として支払うのが保証料です。
保証料は家賃の半額~1ヵ月分であることが多く、契約内容によっては1年か2年ごとに更新料も必要となります。
連帯保証人を立てる場合は不要ですが、最近は保証会社加入が必須となっている物件も多くあります。 - 保証金償却
退去時に保証金から差し引かれる金額をあらかじめ設定したものです。敷引きと呼ぶ場合もあります。
原状回復費用の最少額が決められているため、その金額を超えなければ追加で修繕費がかかることはありません。敷金と同様にきちんと確認しましょう。 - 礼金
家主に謝礼の意味で支払う慣行上の金銭です。契約時に支払い、退去時には返還されません。最近ではあまり条件にしていない物件も多くなりました。 - 仲介手数料
不動産会社の紹介で賃貸契約をした場合に、手数料として支払うお金です。通常は家賃1ヵ月分かかります。
- 保険(借家人賠償保険)
住宅自体や家財に何かあった時に補償を受けるための保険加入で必要な費用です。加入する保険によって費用は異なります。1ルームで10,000円~15,000円、ファミリータイプで20,000円前後(共に2年分)です。
その他必要な費用
- 更新料
契約を更新する際、家主に支払うお金です。長年住む場合には必要になることが多いため、確認しておくと安心です。なお、更新時の手続き費用として、主に管理会社へ更新事務手数料を支払う場合もあります。 - 引っ越し費用
費用は荷物量によって異なることはもちろん、移動する距離や時期によって大きく変動するため注意が必要です。特に繁忙期は予約がとりにくく、金額も高くなるためきちんと見積もりをして確認しましょう。
初期費用
以上の通り、契約時にまとまった費用が掛かります。部屋(物件)によって条件が異なるため、一概には言えませんが、概ね【家賃の4.5倍~5倍】程度が掛かると思っていた方がいいでしょう。
注意‼
昨今、この契約時に様々な名目で費用を取ろうとする会社が増えています。例えば、『除菌消臭代』や、『害虫駆除代』と言った、一見高額ではない費用を計上している場合があります。この様な費用は契約には必ずしも必要な費用ではありませんので、ご注意ください。
ポイント
入居時にしておくこと
入居前に部屋の状態を記録
入居後は必ず荷物が入っていない状態の部屋を写真に収めましょう。理由は退去時の修復費用負担をどこまですればいいのかを判断しやすくするためです。
基本的に設備が破損した場合は負担しなければなりませんが、経年劣化や入居時から破損していたものは免除されます。トラブル回避のためにいつからあった破損なのかを証明できるようにしましょう。
不備が不具合について
入居後に改めて部屋を確認すると、内見時に発見できなかった不備や不具合が見つかることが稀にあります。その場合はできるだけ早く管理会社に連絡をしてください。
確認するべきところは、エアコン・給湯器・換気扇・トイレなどが正常に動くか、水回りで水の変色や水漏れがないか、過度な音漏れや異臭がないかなど。
管理会社は賃貸契約書を確認すれば記載があります。賃貸契約書がすぐに見つからない場合は不動産会社に相談してください。
更新や退去時のポイント
更新について
賃貸契約を更新する場合、更新料や書類記入が必要となります。
更新料は家賃の半額~2か月分程度と物件によって異なります。実際にいくら必要なのかは賃貸契約書に記載があるので確認しましょう。
書類記入は契約内容の変更がなければ、記名と押印の場合がほとんどです。連帯保証人の変更などが必要な場合はこのタイミングで変更を忘れないようにしましょう。
入居の際に必ず加入する火災保険ですが、賃貸契約期間に合わせて期間を設定していることがほとんどです。そのため、部屋の契約を更新するのであれば火災保険の更新も必要になります。入居時にかかった火災保険料と同額が必要になるので準備をしておきましょう。
退去の申し出について
賃貸住まいからの引越しで注意しないといけないのが退去予告。賃貸はあらかじめいつ退去するのかを伝えなければいけません。
退去予告は退去日の1ヵ月前までが一般的ですが、まれに3ヵ月前の物件もあります。その場合、退去の1ヵ月前に伝えても、その先2ヵ月分の家賃を支払う必要があるので要注意です。
そのため、お部屋探しと同時に「いつまでに退去予告をしないといけないか」を賃貸契約書で確認しましょう。
敷金/保証金の返還
退去時には、原則として保証金(敷金)は返還してもらえます。しかし全額ではなく、原状回復費を差し引いた額になります。
原状回復費についてはトラブルが起こりやすいため要注意です。修繕内容の詳細と見積もりの金額に納得がいかなかったり、後から高額請求されるケースもゼロではありません。
いかがでしょうか。部屋探しと一口にいっても、ポイントや気を付けることは山の様にあります。ここではその内のほんの一部を紹介致しました。気になる方や質問がある方は、是非お気軽にご相談ください。