地鎮祭や上棟式?家づくりの基礎知識

「地鎮祭(じちんさい)」「上棟式(じょうとうしき)」は、家を建てる際に行う代表的な儀式です。聞いたことはあるものの、どのような目的で行う儀式で何をするのか知らない方が多いのではないでしょうか。地鎮祭や上棟式は行うべきなのか、どちらか一方ではダメなのかといった疑問にも合わせてお答えします。

地鎮祭や上棟式はいつか、目的は?

地鎮祭
時期:着工時
氏神様に土地を使用する許しを請い、工事の安全を祈願する

上棟式
時期:骨組み完成時(基礎工事から1ヵ月前後経過後)
工事が順調に進んでいることに感謝し、無事完成することを祈る

竣工式
時期:引渡し後
建物の完成を祝い、今後の安全と繁栄を祈る

建物を建てる際には様々な儀式が行われ、中でも「地鎮祭」「上棟式」「竣工式」は三大儀式と呼ばれています。それぞれの特徴を見ていきましょう。

地鎮祭とは?

地鎮祭とは、家を建てる前に居住する土地の氏神様から土地を使用する許可をもらい、新築する許しを請う儀式のことです。新築工事が安全に滞りなく行われることと、家が繁栄することを祈願します。
当日は、
・開式の辞(かいしきのじ)
・修跋の儀(しゅばつのぎ)
・降神の儀(こうしんのぎ)
・献饌  (けんせん)
・祝詞奏上(のりとそうじょう)
・四方祓 (しほうはらい)
・地鎮の儀(じちんのぎ)
・玉串奉奠(たまぐしほうてん)
・撤饌  (てっせん)
・昇神の儀(しょうじんのぎ)
・閉式の辞(へいしきのじ)
・直会  (なおらい)
と進行しますが、簡略化した地鎮祭で済ますケースも多いようです。
一般的に建築吉日と言われているのは、六曜の「大安」「先勝」「友引」の午前中です。北斗七星の動きを元とした暦注、十二直(じゅうにちょく)の「建(たつ)」「満(みつ)」「平(たいら)」といった日も人気がある一方、建築に関する凶日として知られている「三隣亡(さんりんぼう)」は3軒隣まで火災をもたらすと言われており、向いていません。

上棟式とは?

「上棟式」は、建物の骨組みが完成した時点で行う儀式のことで「棟上げ(むねあげ)」「建前(たてまえ)」とも呼ばれています。工事が無事に進んでいることと、これから完成に向けての祈願を込めて行います。上棟式の日は朝から棟上げ作業が行われ、鬼門(北東)に魔除けの効果があるとされる幣束を飾ります。建物の四方に酒・米・塩をまいて清め、幣束に向かって「二礼二拍手一礼」で祈願します。最近では省略するケースが多いですが、一部地域では餅まきを行うこともあります。
地鎮祭と同じく、「大安」「友引」「先勝」に執り行うことが多く、棟上げ作業が終わってから行うので、午後から夕方にかけてのスタートが一般的です。

竣工式とは?

「竣工式」は、その名の通り建物が竣工した後で行う儀式です。完成したことに感謝の意を表し、家族が末永く繁栄することを祈ります。店舗や施設、およびビルといった建築物の完成時には竣工式が行われることが多く、テープカットの様子などを見かけたことがある方も多いでしょう。しかし、引き渡し後の忙しいタイミングとあって一般的な住宅で竣工式を行うケースは少数派になっているため、無理をして行う必要はないでしょう。

全部おこなう必要があるのか?

地鎮祭も上棟式も、必ず行う必要がある儀式ではありません。共働きで、日中に時間を割くことが難しい家庭が増えている背景もあり、首都圏のハウスメーカーなどでは地鎮祭や上棟式を行わないケースが増えています。一方、地域によっては実施することが慣習となっていることも多いようです。実施するにしても、施主が中心となって準備を進めるケースから、ハウスメーカーが取り仕切り施主は当日手ぶらで参加するだけで良いケースまで様々です。
地鎮祭だけ実施して上棟式は行わない、もしくは棟梁などの職人さんにご祝儀などを渡して儀式は省略するケースもあります。いずれにしても、地鎮祭や上棟式の費用を諸経費に含んでいる場合を除き実施するには後から費用がかかります。地鎮祭や上棟式を予定している場合は、事前にお金の算段をつけておくと良いでしょう。

まとめると…

伝統的な儀式と言われる地鎮祭や上棟式は、必ずしも実施する必要がありません。家づくりで何かと忙しく物入りな時期ですから、「地鎮祭や上棟式は省略したい」という人が多いのではないでしょうか。しかし、儀式を行うことは棟梁や大工さんの労をねぎらう意味合いが強く、コミュニケーションを育むきっかけにもなります。皆さんも、地鎮祭や上棟式の実施を検討してみてはいかがでしょうか。

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