正月の行事や慣習に込められた意味

2022年も1/4より仕事始めとなりました。本年も宜しくお願い申し上げます。

さて、皆さまどの様なお正月を過ごされたでしょうか。当たり前の様に新年の挨拶をし、おせち料理やお雑煮を食べ過ごす…という方が多いと思いますが、この当たり前に行っている事の意味をご存じでしょうか。新年に行っている行事や慣習はやっぱり意味があるもので、それぞれどの様な意味があるのでしょうか。ここでは、新年からの行事に絞り、紹介したいと思います。

お屠蘇(おとそ)の意味と飲み方

お屠蘇は普通のお酒ではないことを知っていますか?お屠蘇はお正月をお祝いするお酒ですが、御神酒と同様に清酒をお屠蘇としていただいている人も多いのではないでしょうか。

本来のお屠蘇は単なるお酒ではなく、漢方薬などを浸した薬膳酒です。その由来は古代の中国で大晦日に漢方薬などを酒に浸して置き、それを不老不死の薬酒として元日の朝に年少者から年長者へ順にまわして飲んでいくという風習から始まったとされています。

年少者から年長者へまわしていくのには「若い生命力を年長者へ分け与える」という意味が込められているそうです。一年の邪気や悪気を「屠り(ほふり)」、命を「蘇らせる(よみがえらせる)」ということから「お屠蘇」と呼ばれているのです。

飲み干した盃を年少者から年長者へまわしていくのが本来のいただき方ですが、もちろん未成年や車を運転する人、妊婦さんなどお酒を飲めない人は口をつけるだけの形式的なもので済ませてOKです。

お雑煮、おせち料理の意味

お屠蘇を済ませたら、お雑煮をいただきますが、お雑煮は年神さまにお供えしたお餅をいただくための料理で、元旦最初に汲む「若水(わかみず)」を使って作るのが正式とされています。年神さまからいただく年魂が宿ったお餅をお雑煮でいただくことにより、新しい年を健やかに過ごすための生命力をいただくという考え方だそうです。

お雑煮の作り方や具材については実に郷土性が豊かで、一般的に白味噌仕立ての関西風やすまし汁の関東風とされているものにとどまらず、ありとあらゆる味付けやタイプがあります。地域差だけでなく、各家庭でも作り方が全く違っていたりもしますから、お正月にお呼ばれしたときにいただくお雑煮が自分の家のものとは違う味で新鮮に感じることもあるでしょう。

次に「おせち料理」です。おせち料理は「御節料理」として、もともとは季節の節目を祝う日(節句、節会など)に神様にお供えする「御節供料理(おせちくりょうり)」を指します。年間を通して何度もある節句ですが、そのなかでも特に大切な日がお正月ということで、お正月の御節供料理だけが残ったということのようです。

年神さまにお供えするお供物料理ですから、縁起の良いものや願いが込められている食べ物が多く、めでたさが重なるように重箱に入れます。年神さまにお供えしたものを家族で分かち合いながらいただき、一年の健康と幸せを願うのがおせち料理なのです。

おせち料理に保存食が多いのにはいくつか説があり、かまどの神様にお休みいただくため、あるいは日頃忙しい女性がお正月くらいは料理を作ることなくゆっくり過ごすことができるように、などといわれています。

初詣

お屠蘇やおせち料理をいただいたら、「初詣」に出かけましょう。初詣は、新年を迎えて初めて神社やお寺などに参詣することで、その年の健康や幸せを祈願します。

初詣においては特に決まりやルールがあるわけではありませんが、氏神様へ初詣に出かけるのがベストですね。自宅にある古いお札やお守りなどを持参して、神社に奉納するのがおすすめです。お参りするべき期間としては、松の内に済ませるのがよいでしょう。もちろん、松の内を過ぎるとなにか縁起が悪くなるというわけではありませんので、ご都合の良い日に出かけましょう。二礼二拍手一礼が基本です。

七草がゆ、鏡開き、どんどん焼き

新年にお招きした年神さまの居場所だった鏡餅を割って食べるのが「鏡開き」です。

一般的には1月11日(関西や一部地域では1月15日)に行われます。これは松の内が終わり、年神さまをお見送りして仕事始めをする区切りでもあるのです。

年神さまがいらした鏡餅には年魂が宿っているとされていますので、開いた鏡餅をお汁粉などに入れて食べることにより一年の健康と幸せを願います。

同じく年神さまをお招きするために飾っていた門松やしめ縄飾り(正月飾り)も松の内が明けたら片付けますが、どうやって処分したらよいか悩んだことはありませんか?そのままゴミに出してしまうのも気が引けますよね。

これにもきちんとした処分方法があります。それが「どんどん焼き(左義長)」です。住宅街がひしめく都会ではあまりみかけなくなりましたが、地方や郊外では子ども会などの行事として行われているところが多いようです。小正月である1月15日やその前夜の14日に行うことが一般的で、町内の門松やしめ縄飾りを子どもたちが集めてまわり、それを一か所でまとめて焚きあげます。

これは門松やしめ縄飾りを燃やすことにより、その炎で年神さまをお見送りする意味があるようです。また、書初めで書いた書物なども一緒に燃やされることがありますが、炎が高く燃え上がると習字が上達するといわれています。

ただ、最近では近隣の環境問題なども関係してどんどん焼きを行わない地域が増えてきています。個人で正月飾りなどを処分する場合は、お酒や塩で清めてから新聞紙などにくるんで一般ゴミとして出せばOKです。

さいごに

いかがでしょうか。スマホをはじめとするネット社会が驚くほどのスピードで発達しつづける現代。そんな時代に生きる私たちが、日本の伝統や昔の生活などに触れられる数少ない機会が「お正月」です。

お正月は、家族にとってとても大切な行事であるとともに、私たちが古来より大切に受け継いできた日本人としての原点を感じられる行事でもあります。自分たちの文化をきちんと理解し、それを楽しみながら次のお正月を迎えましょう。そしてできる事なら子ども達の世代へこの意味を伝え、受け継いでいきたいですね。

古き良き文化はいつまでも残していきたいものです。

 

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