来年の税制改正に向けて住宅ローン減税にも変更点がある様ですが、この住宅ローンそのものについての話です。
住宅ローンと言えば、【固定】と【変動】がありますが、どう違い、一体どちらを選べばいいのでしょうか。住宅金融支援機構によると、2020年は約6割超が【変動金利型】を選択しているとの情報があります。
住宅ローンの金利種類についてきちんと把握してから契約しましょう。そこで基本的な違いについておさらいします。
固定金利の特徴
借入当初の金利がずっと続くタイプのものです。全期間固定金利型の商品として代表的なものに、住宅金融支援機構が提供している「フラット35」があります。「フラット35」は多くの金融機関でも取り扱っており、借入期間は最長で35年です。そして、一般的に全期間固定金利型は、他の金利プランと比べて金利が高い傾向にあります。
また、全期間固定金利型以外にも、「固定金利選択型」というものがあります。「固定金利選択型」とは、一定の期間のみ金利が固定されるタイプで、3年固定、5年固定、10年固定などがあります。そして固定期間が終了すると、変動金利に移行するタイプが一般的ですが、中には固定期間を再度設定することができるものもあります。適用される金利は全期間固定型よりは低いものの、選択した固定期間が長ければ長いほど高くなることが特徴です。
固定金利のメリットとデメリット
メリットは、返済額が借入当初から完済まで一定なので、将来にわたって返済計画が立てやすいことです。例え、返済期間中に市場金利が上昇したとしても、影響を受けることはありません。(全期間固定金利の場合)
デメリットは、現在の様な低金利時代の恩恵を十分に受けることができない。今後、今よりもさらに金利が低くなったとしても、借入当初の金利のままで返済を続けていかなければなりません。
変動金利の特徴
一定期間ごとに適用金利が見直され、借入期間中に金利が変動するタイプのものです。変動金利型で住宅ローンに適用される金利は通常半年ごとに見直されていますが、見直された結果が毎月の返済額にすぐに影響するわけでありません。変動金利独特の2つのルールがあります。
まずは、「5年ルール」。これは、返済額の見直しから5年間は、例え適用金利が上がったとしても月々の返済額は変動しないというものです。
そしてもう一つは、「125%ルール」です。見直し後の返済額は、見直し前の返済額の125%を上限とし、例え、大きな金利上昇があったとしても見直し後の返済額については見直し前の25%までしか上がらないというものです。
変動金利のメリットとデメリット
変動金利の最大のメリットは、金利タイプの中で一番金利が低いということです。もし仮に金利が見直されたとしても、「5年ルール」や「125%ルール」が適用されることで、毎月の返済額にすぐ反映されないこともメリットといえます。反対にデメリットは、金利が変動することによって将来の返済計画が立てにくいという点です。また、もし金利が上昇する局面が続いた場合は、最終的に返済額の負担も大きくなり、当初予定していたよりも利息支払分と総返済額が大きくなってしまうというデメリットもあります。また、金利の変動により思う様に元本が減っていなかった、なんて事もあります。
金利タイプの選び方
固定金利に向いている人
固定金利を選ぶ際のポイントは、固定金利のメリットである「月々の返済額が一定」という安心感を重視するかどうかです。そこで、以下のタイプの人が固定金利に向いているといえるでしょう。
- 景気の情勢に左右されたくない人
- 将来、教育費などの支出増加を見込んでいる人
- 長期の返済計画を立てている人
- 今後金利が上昇すると考えている人
変動金利に向いている人
変動金利を選ぶ際のポイントは、「金利変動というリスクを負いつつ、できるだけ金利負担を減らし、短期間での返済をめざす」かどうかです。そこで、以下のタイプの人が変動金利に向いているといえるでしょう。
- 借入希望金額が少なく、比較的余裕を持った返済計画を立てられる人
- 借入希望期間が短い、もしくは繰上返済を利用しつつ短期間で返済する予定のある人
- 金利変動を定期的に確認しながら、金利上昇リスクに備えることができる人
- 将来的な収入増加が見込める人
注意点
固定金利選択型や変動金利のタイプを選択する場合は、将来的に金利が上昇した際の対応策を考えておくことが大事です。金利が上昇した結果、住宅ローン返済という固定費が多くなってしまう可能性があるからです。特に固定金利選択型を選び、選択期間が終了した場合には、一気に金利が高くなるケースもあるので十分注意が必要です。
また、今後金利が下がったら借り換えようと思っている人もいるのではないでしょうか。確かに、金利が下がった際に住宅ローンの借換を行えば、毎月の返済額を減らすだけでなく、総返済額の削減につなげることもできます。ただし、借換の際には幾つかの注意点があります。
- 借換の際には住宅ローンを申し込んだ当初と同様、審査を受ける必要がある。
- 事務手数料や保証料などの諸費用が発生する。
- 健康状態によっては団体信用生命保険(団信)に入れず、借換ができない可能性もある。
複数の金融機関で比較する
住宅ローン金利には固定金利と変動金利があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。もちろん借換を行うことによって途中で金利タイプを変更することも可能ですが、借り換え諸費用を忘れてはいけません。できるだけ最初に決めた金利タイプのままで、繰上返済などを活用しながら返済していきましょう。複数の金融機関のウェブサイトで借入額と借入期間を想定しながらシミュレーションを行い、比較検討してみることが大切です。現在では様々な金融機関のホームページ等でだれでもシュミレーションができる様になっています。また、具体的な適用金利については、実際に審査を受けてからではないと分からないため、事前に引き下げ金利の内容が知りたい人は店舗で相談することをおすすめします。ご自身のライフプランやライフイベント、家計の状況、金利見通しの考え方などを踏まえて最適な住宅ローン金利タイプを選びましょう。
この様に、どちらが損か得か、では無く、ご自身の将来設計を踏まえた上でじっくり検討することがとても重要です。住宅ローンの多くは35年間と、とても長期間のローンになります。この長期間のローンを組む上でしっかり検討せずに言われるがまま契約してしまう人も多いのでは、と感じています。
『こんなはずじゃなかった…』、なんて事の無いように、しっかり検討、検証していきましょう。