不動産を売却する時の土地測量について

いざ不動産(主に土地、建物)を売却しようと思った時に必要な【土地測量】。測量について解説していきます。

土地の測量ってなに?

土地の測量とは、土地の面積や形状、隣地との境界線などを測り、確定することです。「土地家屋調査士」(測量士)に依頼して行います。土地測量を行う目的は、土地の現状や面積を正しく把握し、隣地所有者との間で境界線についての認識を一致させることです。

土地は、建物を建てたり取り壊されたり隣地所有者が変わったりする中で、利用状況が刻々と変化します。いったん登記されても長い年月が経つと隣地との境界が曖昧になり、面積や形状が登記した当初の状況と変わることがあります。登記簿上の面積と実際の面積が異なると売買代金に影響するので、正確な面積を明らかにする必要があるのです。

また、隣地所有者同士で境界の認識が一致しないと境界トラブルが発生します。トラブルを抱えた状態では、購入者が購入を躊躇するので、測量が必要です。

土地の測量が必要なケースとは

測量が必要なケースは、主に、過去に測量した年月が古く、地価が高い不動産の場合。または測量した経歴が無い。(法務局に『地積測量図』が無い。)その他では、現地に境界標無い場合や、あるかどうか疑わしい場合、などが挙げられます。

市街地では測量を行うケースが多い

不動産を売却する際、必ず測量が必要とは限りません。そもそも法律上「土地を売却する際に測量すべき」という定めはありません

当事者同士が納得すれば、測量せずに土地を売ることも可能です。実際、過去には土地測量なしに取引が行われる事例も多数ありました。

ただ、昨今では土地購入後の隣地所有者とのトラブルなどを避けるため、売却前に測量を行うケースが増えています。特に、市街地で所有者がひしめき合っている場所では、1㎡あたりの単価が高く、少しの誤差が大きな影響を及ぼすこと、隣地との境界争いが起こりやすいことから測量が行われるケースが多数です。

市街地とは、農地や森林などが見られず人家や商店・ビルなどが立ち並んだにぎやかな土地のことで、市街化とは建築物が数多く建築されているイメージになるため、つまり、都会・都市部・都心といえます。

郊外や地方、山林では測量を行わないケースが多い

一方、郊外や田舎の広めの土地の場合、土地価格が低くて隣地とのトラブルもさほど多くないこともあり、測量を行わずに土地売買されるケースが多数です。

また「山林」の場合、土地価格が非常に低い上に隣地とのトラブルが起こるケースはほとんどありません。さらに土地が広大なために測量費用が多額になり、測量を実施するメリットがほとんどなくなります。そこで測量をせず、公簿面積を前提にした取引(公簿売買)がほとんどです。

公簿売買とは、測量図の有無にかかわらず、登記簿面積を売買面積とする方法です。

すでに測量済みの場合、改めての測量は不要

市街地でも、すでに測量を行って確定測量図と境界確認書があるなら、売却時に重ねて測量する必要はありません。ただし、測量図はあっても『境界確認書』が無い場合等もある為その場合には改めて測量及び境界確認書の取り交わしは必要になるケースが多いです。

まとめると、【境界標】、【確定(現況)測量図】、【境界確認書】の3点セットが揃って無い場合には測量が必要になる、と思っていた方がベターと言えます。

測量図の種類と違いについて

ひと口に測量図といっても意味合いが異なるので注意が必要です。※以下出てくる『官民』の『官』は国や地方自治体(市町村)、『民』は民間、個人法人を意味しています。

現況測量図(げんきょうそくりょうず
現在の状況を測った測量図面で、仮測量図ともいいます。隣地所有者(官民、民民のいずれ)の査定の立会いがなく、単にその土地を測量させた図面です。土地の境界について、実際に隣地所有者と承諾がされているのかどうかは不明な図面です。

測量図(そくりょうず)
隣地所有者の中でも道路、水路等の官民査定を省略し、対象地に隣接する民有地との境界について、隣接地所有者立ち会いのもとに境界確認を行い作製された図面です。こちらがあれば、確定測量図でなくても売却が可能です(費用を抑えることができます)

確定測量図(かくていそくりょうず)
土地の境界について、隣地所有者(官民、民民どちらとも)の立会い(境界確認)を行って承認が得られ、それに基づき面積や寸法が確定された図面です。多くの土地売買では、この確定測量を行うケースが多くなっています。

地積測量図(ちせきそくりょうず)
法務局に備えられている図面です。確定測量図が作製され、それが法務局に登録されているものです。ただし、古い地積測量図は測量技術が低かったり、隣地所有者の承諾が無い状態で登記されたもの等があるため、古い地積測量図についてはその信用力が低いとされています。

土地の測量にかかる費用

土地測量にかかる費用は通常「売主負担」になります。測量費用の相場は、土地の広さや事案の複雑性、官民境界の査定まで行うのかなど条件によって異なります

一般的な30~40坪(100〜130㎡)くらいの住宅地で「民民境界のみ査定」のケースでは、30~45万円くらいが相場です。官民立ち会いだと費用が上がり、隣地所有者が多数、土地が広いケースなどでは100万円以上かかることもあります。どのくらいの費用がかかるのか、事前に見積もりを取って確認する様にしましょう。

また、期間も隣地がどの様な所有者なのか、官民の手続きに要する時間等の兼ね合いで数か月は掛かります。『隣地所有者が、隣地にいないケース』といった事も多々あります。

くれぐれも手続きには余裕を持って臨む事が大切です。

 

いかがでしょうか。ひと口に測量と言っても、その内容によって作業が大きく異なってきます。また、期間も掛かることから、売却を始める前に先に行うこともスムーズな売却には必要なこと、とも言えます。

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