11/22掲載の日本経済新聞記事より・・・
不動産賃貸事業は「不労所得」にあらず 戦術が重要に
最近、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」という言葉がはやっています。資産を早めに築いて仕事を辞めるという生活スタイルを意味し、こうした目的を達成するために、比較的手軽で簡単な投資対象として賃貸用のワンルームマンションなどが推奨されているようです。
(中略)
借り手市場となっている今、不動産賃貸事業を行うことは、何もしなくてもお金を生んでくれるものではありません。ある意味では「経営」と言えるのかもしれません。ですから、不動産全般に関することに加え、マーケティングやファイナンス、タックスプランニングなど、最低限で構わないので、本などで勉強していただいた上で不動産賃貸事業に着手したほうがよいと思います。
まさにこの記事の様に、不動産賃貸事業=不労所得と間違えるケースも少なくありません。
不動産業のど真ん中でやっている我々でさえも難しいと感じる賃貸経営。一般の方が手を出そうものなら分からない事だらけで気が付いたらキャッシュが底を付いていた・・・なんて事になり兼ねません。
このコラムでも度々注意喚起をしていますが、今一度ポイントをまとめると…
1.業者に任せっきりにしない
物件選びから、入居者の募集、維持管理に至るまで、全てを丸投げして任せっきりにしない、という事です。最終的にはご自身に全責任が生じます。業者に任せていたから知らない、では通じません。貸主としての立場となる事は、それだけ『貸している責任』が発生しています。何も知らずに任せるのと、知っていて任せるのとでは大きく違います。
2.サブリースには要注意
サブリースは、業者の利益が大きい事がメリットであるので、貸主へのメリットは特にありません。これも任せっきりの経営のひとつに該当しますが、賃料を勝手に減額されたり、不当なリフォーム費用が請求されたりとトラブルが絶えません。入居者もどの様な方なのか知らない事が多く、それで本当にいいのでしょうか。
3.見えない資金を見抜こう
いい事ばかりが目立ちますが、不動産を所有している時点で、固定資産税は毎年発生します。また建物に不具合(雨漏り、電気切れ、など)があれば当然自費で修理しなくてはなりません。(火災保険でも出る出ないがありますので要注意です。)また、老朽化してくれば防水工事、原状回復、外壁塗装などで思わぬ出費がある事も多いです。せめて向こう10年位は事業計画をしっかり立てましょう。修繕費などが思ったより掛かり結果的に利益なんて出なかった、といった声もよく聞きます。
4.何もしないで得られる所得では無い
不動産投資は、数ある投資手法の中のひとつですが、あくまでも『経営』であることを忘れてはなりません。ご自身の所有物である以上、全責任を負う覚悟で臨む必要があります。まさに不動産投資は不労所得では無い、と言う事を念頭に置く必要があります。
5.自分で管理しよう
さすがに、入居者の募集や契約書を作る、といった事までは難しいと思います。せめて契約後の賃料回収(督促含む)、日常管理(清掃等)、小修繕など、自分で出来るところは自分でやる覚悟をもつことが大切です。物件の数が増えてくればさすがにひとりで管理も難しくなってくると思いますので、その場合には管理委託する選択もあります。それでもご自身で定期的に物件巡回をする、といった活動は必須だと考えます。
いかがでしょうか。
以前、投資用の物件を購入し、アパート経営を始めたお客様がいらっしゃいました。その方は、自分の物件に頻繁に通い、入居者とのコミュニケーションを図ったり、掃除をしたり、敷地の空きスペースに季節の花々を植えたり…と言った活動をされていました。このお客様、2棟目、3棟目を購入する際には金融機関からの評価も抜群でした。この様な日々の管理姿勢も大きく評価された様です。
ここまでは極端かも知れませんが、少なくとも自分で出来る事は自分でやる、というスタンスが大切です。
そして、いつも言っていますが、『専門的なよき相談相手』が必要です。当社ではこの様に客観的な視点からのアドバイスを行っておりますので、ご相談はお気軽にお問い合わせください。