2022年の不動産市況を予測する

勝手ながら2022年以降の不動産市況を予測してみました。『コロナ禍でどうなるか』、『オリンピックが終わってどうなるか』…などなど疑問に思われる方も多いかも知れません。

2022年の不動産市況

結論としては、現在とそう大きくは変わらないと予測されます。新型ウィルスの影響を受けて懸念されますが、この業界には大きく影響はしない、という見通しです。

最も新型ウイルスの流行はじめは、大きく市況に影響されましたが、それも一時的なもの。むしろ生活様式が新しくなり、より住まいについての選択肢が増えた様にも実感じています。今後もこの需要は継続していくと思われます。

また、生産緑地についての2022年問題も、市況に著しい影響が出ない様、対策がされているため、従来から懸念されているような価格暴落は無い見通しです。

2022年の不動産市況に影響する要因

今後の市況に影響する要因は次の3つです。

1.新型ウイルスの流行と動向
2.オリンピック閉会後の影響
3.2022年問題(生産緑地)

ウィルス蔓延後の価格推移

国土交通省の「令和3年地価公示結果の概要」によると、平成27年から上昇し続けていた全用途平均は6年ぶりに下落を見せたとあります。住宅地・商業地いずれも下落に転じ、依然上昇傾向にある工業地も、上がり幅が少なくなりました。

このような地価の下落は、新型ウイルスの影響と見られます。ただし、東京23区や近畿圏、札幌、仙台、広島、福岡といった都市圏では需要が大きく損なわれることはなく、価格も回復しつつあるようです。土地の用途や地域によっても変動幅は異なり、その需要にもエリアによる差異があると言えるでしょう。

取引件数は減少

2020年以降、不動産の取引件数は減少したのは事実です。取引件数が減って需要が下がると不動産価格も下がっていく傾向にあるため、バブルの崩壊やリーマンショック時のような価格の下落を指摘する声もありました。しかし、コロナショックによる取引件数の減少は、金融取引システムへの直接のダメージが少ないことが特徴的です。また、感染者数と取引件数とは反比例すると言われているため、今後、感染者数の減少とともに取引数も回復し、伸びていくだろうという見方も多くあります。

需要の変化と二極化

人々の暮らし、働き方が変化し、オフィスは大規模なものから小規模、また地方へといった様に変化しています。また、住宅の場合、テレワークのスペースがある住宅や、部屋数の多い物件が人気となる等、これもまた変化し、そしてエリアも都心型から、郊外型へとシフトしています。ただし、郊外に集中している訳ではなく、都心の中古物件も需要が高まり、価格高騰もしています。

この様に従来の住まいに対する考え方が変わり、二極化が進行しています。

オリンピック閉会後

東京オリンピックの開催が決定した際に、不動産市況はオリンピックまで上昇し続けて、閉幕後は下落するのではないかといった声が多く見受けられました。

オリンピックなどの大規模な式典やイベントは、不動産需要を生み出し、価格を大きく上昇させます。海外観光客を招くための大規模なインフラ整備が進められたり、大きな商業施設が建てられたりするからです。実際、東京オリンピックに向けてもインフラ整備が行われ、不動産価格の上昇を後押しする形となりました。

ただし、こういった形で上昇した価格は、イベント終了後に暴落する恐れがあるとも言われています。しかし、東京オリンピックは、過去に価格の暴落を起こさなかったロンドン型の経済成長の様相を呈しているため、今後も価格の暴落はないという予想です。

2022年問題

2022年問題とは、生産緑地として農地だった土地が2022年に転用され、市場に大量に出回るのではないかという予想のことです。「2022年不動産問題」や「生産緑地問題」とも呼ばれます。

生産緑地の指定を受けると30年間は農地として管理していかなければならない一方で、固定資産税などの優遇措置を受けることができます。この、生産緑地に指定された土地のうち、全体の80%もの土地が2022年に指定期限を迎えるため、営農義務や固定資産税の優遇措置がなくなります。そのような生産緑地が宅地に転用され、不動産市場に出回るのではないかと問題視されてきました。

ただし、政府による対策が練られていることや、市街化区域外の土地に影響が少ないことから、全国的な価格の暴落には至らないと考えられています。

2022年問題で影響を受ける地域

東京都世田谷区・東京都練馬区・大阪府・愛知県名古屋市・愛知県一宮市・愛知県豊田市 など

これらの地域では、生産緑地が点在しており、2022年の指定解除に従って土地の価格が下がるかもしれないと言われています。特にファミリー向け住宅地では影響が大きいのではないかという見解です。

生産緑地は駅の近くといった、利便性が高いところにはあまり位置しておらず、多くが郊外やファミリー向け住宅が多い閑静なエリアに設けられています。よって、不動産の需要や価格が高いエリアでは、2022年問題の影響をさほど感じないのではないかという見解が主流です。

2022年問題に対しての対策

政府は不動産価格暴落の対策として、幾つかの基準を設けています。

・市民農園等整備事業の拡充
・10年ごとに更新できる特定生産緑地の指定
・建築規制の緩和
・都市農地賃借法

生産緑地解放の影響を受ける地域が限られるとしても、少しでも安い土地を求めて需要が動いていくことは予想されます。結果的に他の地域の不動産価格が落ちることも考えておかなくてはなりません。

2023年以降の市況の見通し

2023年は、景気次第で大きく不動産市況が変わってくると考えられています。東京オリンピックが終わったため、開発された都市に大型マンションが建設されるといった動きも予想されます。また、新型ウイルスの影響で増えた需要は、一時的なものである可能性を考えておかなければなりません。一般住宅の需要増加は、低金利政策も原因のひとつとされているため、景気や政策の影響を大きく受けます。

特に都市部オフィスの需要は、テレワーク普及に伴うオフィスの規模縮小に合わせて、今後も減少していく可能性があります。

2023年問題

高齢者の単独世帯や核家族化を原因とし、世帯数はこれまで上昇を続けてきました。しかし、日本の世帯数は2023年をピークに減少に転じると予想されています。

世帯数が減少すると、住宅需要も減るため、住宅価格が下落する恐れがあります。また、独居していた高齢者が亡くなって空き家が急増することも問題です。空き家問題には現在もさまざまな対策が取られているものの、根本的な解決には至っていません。人口の割合から見ても高齢者が多い地方では、特に不動産市況が乱れることが予想されます。

一方で、都市圏に関しては、同じように世帯数が減少していくものの、その減少率は緩やかであるという見通しです。

2025年大阪万博

2025年に開催予定の大阪万博は、東京オリンピックに次いで世界で注目される国際的な大規模イベントです。万博についても、オリンピックと同様に経済成長を促す効果があります。また、大阪という都市のブランドイメージを世界的に示すチャンスとしても、大阪万博は注目のイベントです。世界的に日本といえば、首都である東京都のブランドイメージがついています。万博を開催して世界から認められることで、大阪の経済規模の大きさや発展状況といったよいイメージを広めることができます。

2025年に大阪万博が予定通り開催されれば、大阪府近郊の関西圏では、不動産価格の上昇が見込まれるでしょう。

2025年問題で下落予想

現在の日本の総人口の6%に当たる約800万人の団塊世代が、2025年には後期高齢者となることがわかっています。これが2025年問題です。2025年の後期高齢者は全人口の18%程度となり、年金問題や社会保障、公共サービスの破綻が懸念されています。

団塊世代の人の多くが不動産を所有しており、空き家問題のさらなる深刻化につながる見通しです。相続して放置される物件や、使い道がなく売れ残る中古物件が増えることが予想されます。

空き家問題の対策

年々深刻化する空き家問題を解決するため、政府は空き家を500万戸から100万戸に減らすことを目標に掲げ、さまざまな対策を施しています。例えば次のような対策が挙げられます。

空家等対策特別措置法の制定
特定空き家の指定
空き家バンクの拡充

特に、特定空き家の指定は大切な政策です。空家等対策特別措置法に基づき、適切に管理されていない空き家を特定空き家に指定することで、自治体が指導や勧告、場合によっては罰金などを科すことができるようになりました

まとめ

2022年の不動産価格は大きく値崩れすることもなく、現在と大きく変わらない見通しです。しかし、不動産市況はさまざまな要因によって動いていきます。そうした変動に対応するためには、常にアンテナを張っておくことが大切です。不動産価格の変動を追ったり情勢をチェックしたりするなど、市場の小さな動きにも気が付けるようにしておきましょう。

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